時景の中へ.

中へ先へ進む.

帰国検疫(5/17帰国)

検疫関連は,このあたりの事前情報を
https://www.daikie.com/entry/2020/04/12/210848
https://masako-selfcare.com/quarantine-japan
https://www.ftsturismo.com/blank-4
元に想定して,準備していましたが,この情報よりもあっさりでした.日々変わっているのだと思います.手続きの流れとして,

  • 離陸時に既に記入用紙(待機場所の申告など)を渡され,飛行機内で記入
  • (上記の情報と違って)着陸後は機内では待たず,通常通りに飛行機から出て,記入用紙の簡易チェックのための待合場所に全員移動
  • 待合場所では,子連れ→自力で自宅等に移動できる人→それ以外 の順で用紙の簡易チェックを実施
  • 子連れ+自宅 (妻の実家) 帰宅だったので,最初に受付でき,全く待たず.
  • 簡易チェック後,PCR検査の会場に移動.その後,記入用紙の本確認.
以上でコロナ関連の手続きは終了し,入国審査+荷物引き取りでゲート外に出ることができました.結局,着陸後1時間くらいで外に出れたと思います(子連れ以外は簡易チェックの待ち時間が一番長くなると思います).
 待ち時間が短かったのは,同じタイミングでの到着便は,シアトル→羽田とロンドン→羽田のみで少なかったためもあるかもしれません.なお,同じ航空便で帰国したのは60世帯程度だったと思います.日本の海外からの検疫対応(日本人等のみ入国可能)が変わらない限り,便数は増えないでしょうね.二週間は不要不急の外出を避ける,外出時も人込み・公共交通は避けるようにと,本確認の際に言われました.ミシガンのStay at home令(の罰則なし)や日本の緊急事態宣言直後と同じ状態で行動していいと理解しました.自宅で待機できるので,ミシガンと状況は変わらず,僕らはそれほどの苦労は感じませんでした.ホテル生活だと,なかなか大変かもしれません.日本に着いた感想としては,検疫は広い会場の端に受付(5列分くらい)を設置してて互いのsocial distanceは保たれていない,空港出てすぐのカフェはやっている,公園でサッカーや野球していると,わりと日本も自由な印象を持ちました.

 デトロイトからDeltaの羽田行きの直行便で帰国予定だったのですが,1週間前に,直行便が運航休止の連絡あり,翌日のシアトル経由に変更になりました.事前に便を予約出来て安心していたのですが,当初は予約を受け付けて,客が少なければ,休止→変更という対応が常態化しているのではないかと思います(この方法による航空会社のデメリットはあまりない).デトロイト→シアトル便は,真ん中の席は空けた座席販売であるものの,それ以外の販売席はほぼ埋まっていました.なにに,移動しているのだろうか..シアトル→羽田便は60世帯+トランジット客5世帯くらいなのでスカスカの状態で,その点は過ごしやすかったです.

 日本に戻ってからは,LINEでの体調報告の予定でしたが,途中まで登録がうまくいかず&同居者の対象報告しているはずがカウントされず,結局電話連絡となってしまいました.

 

スカスカのデトロイト国際空港(金曜夕方)

f:id:junji-urata:20200601072047j:image

スカスカの飛行機の中(シアトル→羽田)
f:id:junji-urata:20200601072054j:image

欠航ばかりの羽田国際線
f:id:junji-urata:20200601072043j:image

COVID-19対応の今後の展開は?(米蘭比べ)

 最近のCOVID-19の状況は,ミシガンまわりで整理しましたが,第二波警戒か経済再開かという話題に移ってきています.

 ホワイトハウスは再開にむけたガイドラインGuidelines for Opening Up America Again日本語要約 by 在デトロイト領事館)を4/16付で発表しております.2週間おきの三段構えでやるそうです.

  • 直近2週間で陽性割合が減少し,病院が通常対応できている状態であれば,第一段目に入り,10人未満の集まりは許容し,大型施設もsocial distanceが保たれれば営業許可.
  • 第一段階で何事もなく2週間過ぎれば,第二段階へ.50人未満の集まり可,不要不急の移動も可,学校も再開,ただし,可能な限りのテレワークを推奨.
  • 第二段階を何事もなく2週間過ぎれば,第三段階へ.ソーシャルディスタンスを意識する以外は,活動は基本的には通常通り.

この条件が厳しいのか,厳しくないのか,よくわかりませんが,,陽性割合の減少や何事もないの判断はなかなか難しそうですね.病院や検査が通常通り動いている状態がベースにあるというのは,明確ですし,いいように思います.(既にジョージア州などは拙速的(?)な感じで再開したようですが,果たしてどうなるか..)

 オランダの場合は,4/21の政府からの発表は,オランダ大使館情報によると

  • 小学校は5/11から再開.ただし,教室に入れるのは通常の半数とする(隔日教育やオンラインで対応).
  • 中学・高校は6月2日の再開を目指す.
  • 12歳以下は屋外で通常通りの屋外スポーツ活動が可,13歳~18歳はソーシャルディスタンスを保った中での屋外スポーツ活動が可,職業スポーツ選手も1.5mの間隔に留意して活動再開を許可.
  • プロサッカーの試合を含むイベント開催は8月末まで禁止.
  • レストラン,カフェ,理容室などの閉鎖措置は5/19まで延長.
  • 70歳以上の高齢者の自宅への訪問は,定期的な1・2名の訪問は許可.

となっております.ルールは割と明確な印象ですが,子供関連の緩和以外は5/19までは継続となり,慎重な姿勢です(※子供同士の感染は少ないというのが,この判断のポイントのそうです)。小学校の再開は,在宅ワークの機会や教育機会の確保といった意図もあるのでしょうか.

ミシガン周りのCOVID-19の状況4

 ミシガンでは州全域への自宅滞在令を3月23日に発令し,2週間後の4月6日頃で一日の感染者数・死者数のピーク(最大値は1日の報告感染者数は1900人程度)は超えたものの,それ以降,感染者数が減り続けているわけではなく,1000人前後を行ったり来たりです.そうした中,第二波と経済の心配を同時にする必要があるわけですが,なかなか悩ましいですね.

 より安全な状態に持っていくために,ミシガン州で対処が必要な点は,African Americansへの感染です.全人口に占める割合が14%なのに,感染者全体に占める割合は40%となっています.これまでの感染については様々な要因が想定できます(生活インフラに関わるWorkerが多いため通常通り働いている,自宅滞在を守っていない,貧困層は特に自宅設備が十分ではなく自宅滞在を守り難い等)が,自宅滞在を緩和すると,より広まってしまう可能性が高いでしょう.Afirican American同士の社会ネットワークが出来上がっており,感染率が高い社会ネットワーク内で,緩和後に,交流が始まると,感染の再波及も早いように思います.これに対して,州知事はExecutive Orderを出し,physical and mental health careのAfrican American層への充実(障壁をなくす)を図ろうとしています.この対策の進み方も,緩和のタイミングに影響するかもしれません.(余談ですが,こちらのサイトには人種別の感染状況が掲載されていたり,病院ごとのマスク等の備蓄状況が掲載されていたりと,非常に充実しています)

 今後の展開を考える上で,まず,現状の閉鎖状態を整理してみます.

 まず,3月23日に発令された4/13までの"statewide stay-at-home order for all non-essential workers(Executive Order 2020-21 (COVID-19))"はこちらで,続いて4/9に4/30まで延長した自宅滞在令(Executive Order 2020-42 (COVID-19))はこちらです.

  • 自宅に滞在し,世帯を超える集会は禁止
    • 例外は,外でのアクティティ(散歩,ハイキング,ランニング,サイクリング等,4/9でカヌー,カヤックを追加)
    • 医者にかかる
    • 食べ物・ガソリン・医薬品などの生活必要物資の購入(ただし,最大限宅配を利用し,同行する世帯人数も最小にする)
    • 弱者のcare活動
  • 労働可能なのは,
    • 医療関係者,必要な行政機能の執行者,動物の世話,セキュリティ管理,リモートワークのためのメンテナンス,農業,エネルギー,上下水道,マスメディア,必須製造業,financial service
    • 公共サービス提供者(公共交通,ゴミ収集,海外選挙,生活インフラのメンテ関連)
    • 食料などの生活必需品の提供者,障害者の援護者,(4/9追加) 葬儀業者(10人以下の葬儀は許可)
    • 労働可能業種や生活必需品のためのchild care,生産者,物流業者,サービス提供者.
    • (4/9追加) コンビニ,ペット用品,自動車用品店,家電,自宅修理用品店,ランドリー,ホテル,自動車ディーラー(メンテのみ)
    • (4/9追加) 医療関係者以外には,短期休暇用の物件の貸し出しは禁止.開いているshopは6 feetを守らせる,店内の密度ルールも明示,大型スーパーでは家具や植物ゾーンをクローズする.食べ物・医薬品等の生活必需品以外の宣伝は禁止.週に2時間はコロナリスクが高い人向けの営業時間を設定すること.
  • 外出先でも,できる限り,6 feetは他者から離れる.

 4/9追加分に苦心の跡が見られます.続いて4/24に5/15まで延長した令はこちらです.主な変更点は,

  • 建物内の店舗では客・従業員ともにマスク着用すること(ただし,非医療用)
  • 営業再開を新たに許可したのは,造園関係(夏になるのも関係?),非生活必需品の店舗もtake out & deliveryのみOK,bikeのメンテ(オンラインのみ)
  • ゴルフもカートを使わなければ,やってOK.
  • 州立公園も日常的な利用のためには開いていることを明確化

です.マスク着用の有効性は明らかになり,Homemade Maskをつけることとなりました.take out & deliveryでなるべく営業を再開したいという意図もありそうです.また,日々の感染者がなかなか減っていかない現状の中で,スーパーなどでの感染を断つためにマスク着用や営業内容の発令による徹底が図られています.徹底のためのチェックリスト(Child care向け,ビジネス向け,food service向け)はから出たり,この地域の大手スーパー(Kroger)から自分たちが取り組んでいることを発信したりしています.Krogerのやっていること自体は大したことではないかもしれませんが,大手のマンパワーを生かして,スーパー店員向け,客向け,供給業者向け,工場向け,物流業者向けとまとめて情報提供されることで,参照できる中小企業は多く,社会貢献の一つの形と言えるでしょう.

 こうした中,経済再開ができるのかは,この記事では,感染症の専門家の話として,"Widespread testing for both the disease and its antibodies, tracking and isolating new coronavirus cases, and, in time, treatment advances to make future COVID-19 infections less dangerous."としています.日本でも追跡ができなくなると危険ということで緊急事態宣言に移行したと僕は思っていますが,緊急事態宣言を撤収するなら,追跡できる程度まで減ったときというのは合理的なように思います(または,virusの特性がもっとわかった或いは治癒できるとき). 

<長くなったので続く>

ミシガン周りのCOVID-19の状況3

ミシガン州の状況ですが,こちらにあるように,日の感染者数数の最大値よりは少なっています.ただし,まだ,日々の変動があり,常に減っているとは言えません.日曜や天気(この1週間は雪が多い)で報告数や検査数が上下する影響があるかと思います(検査数はこちら).陽性率は下がってきていますので,やはり感染者数自体は減少傾向にあるといえると言えると思います.死者数も同様の傾向にあります.検査数も下がっているので,ドライブスルー検査も実施しており,検査が困難で困ることは現状ではなさそうです.州の施策のタイムラインはこちらにまとめられていますが,州全体に自宅滞在令を出したのが3/23頃,感染数のピークを超えたのが4/6頃と読めますので,やはりだいたい2週間くらいで効果が出始めたということでしょうかね(といっても,ここ数日は盛り返して(?),1000人超えが続いていますが).

f:id:junji-urata:20200424023308j:plain

陽性者数の推移(4/22時点)

f:id:junji-urata:20200424023810p:plain

陽性率の推移(4/20時点)

そうした中,ミシガン州(総人口1000万人)は累計で全米3位の感染者数(4/22時点で感染者33,966人,死者2,813人.入院数は12594/20605, ICU入院数は2251/3100)となっているわけですが,一口にミシガン州と言っても広く,州内の地域間の差は大きいです(累積画像はこちらより.ここ数日は西側の地域も感染者数が激増..).南東側の湖に面した郡は州内最大都市デトロイトを含んでおり,その周辺の郡も感染者が多くなっています.南西側の色が濃くなっている郡は州内第2の都市Grand Rapidsを含んでいます.都市部での感染が顕著となっています.人口密度の違い,移動手段の違いによる影響でしょうか.北側は大きな都市もなく,人も少ないので,感染者数は少ないです(DetroitからGrand Rapidsまでは250kmくらいです).

f:id:junji-urata:20200423134523j:plain

郡別の累積感染者数(4/22時点)

このような状況下で,州として今後どう対応するかを検討していくことになります.経済活動は再開したいものの,第二波は避けたい.100年前のスペイン風邪の例でいうと第二波のほうが大きくなるのでは,という警戒感もありますし,感染者数の山を予測することはできても,よりミクロな動きを想定する必要があるので,減り方を予測するほうが難しいだろうと思います(交通事故の渋滞ピークは想定できても,いつ消えるかは周辺の車の動きによるので難しいように).同時に,州の中の地域差をいかにコントロールするかという問題も抱えています.すでに経済再開派のデモが州都Lansing (南側の中央に位置)で行われています.どうやら,このデモには共和党民主党という対立も絡んできているようです(州知事民主党で,共和党の団体の先導(?)でデモが行われたとか.トランプも会見やTweetでミシガンのことに口を出しています).経済活動 対 第二波,地域間の差,対共和党という対立軸が入ってくると,なかなか判断が厳しいですね.そうした中,Mrs. Gretchen Whitmer州知事は,この寄稿にもあるように,共通敵はウィルスであること,連帯して命を守ること,そのために科学的に対処することを軸として,施策を推進していっています.

一番判断が難しいのは,感染の地域差の問題ではないかと思います.寄稿にもあるように,現在は五大湖に隣接した州間で連携を密にしているということですが,近隣で自粛状態を緩めれば,間違いなく,その場所に人が流れていくと思います.「これだけ我慢したから,ちょっとだけいいでしょ」「自分は大丈夫」といった思考の中で,数時間だけでも,(近くで遊べるわけだし)解放したい.一方で,ほとんど感染者がいない状態で,どこまで一緒に自粛すればいいのか,と思う人もいるわけですからね.う~ん..

 

ちなみに,上に書いたデモですが,下の動画の通り,Lansingにある州の議事堂などの施設周辺で,GridLockを起こすことで行われたそうです.車の中にいる限り,警察も外出禁止令による取り締まりが難しく,車が交差点内にいない限りは交通ルール違反ではなく単に渋滞に嵌っているだけの状態になります.対処は極めて難しく,初期の段階で来る車を誘導することで中に入れないようにするくらいしか有効な策が思いつきません.ただし,一度始めたら,なかなか帰れなくなります.巻き込まれた一般車両はたまったものではありません.また,すぐには解散できないので,緊急的車両の移動を妨げる可能性が高く,危険です.

Operation GridLock