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ミシガン周りのCOVID-19の状況4

 ミシガンでは州全域への自宅滞在令を3月23日に発令し,2週間後の4月6日頃で一日の感染者数・死者数のピーク(最大値は1日の報告感染者数は1900人程度)は超えたものの,それ以降,感染者数が減り続けているわけではなく,1000人前後を行ったり来たりです.そうした中,第二波と経済の心配を同時にする必要があるわけですが,なかなか悩ましいですね.

 より安全な状態に持っていくために,ミシガン州で対処が必要な点は,African Americansへの感染です.全人口に占める割合が14%なのに,感染者全体に占める割合は40%となっています.これまでの感染については様々な要因が想定できます(生活インフラに関わるWorkerが多いため通常通り働いている,自宅滞在を守っていない,貧困層は特に自宅設備が十分ではなく自宅滞在を守り難い等)が,自宅滞在を緩和すると,より広まってしまう可能性が高いでしょう.Afirican American同士の社会ネットワークが出来上がっており,感染率が高い社会ネットワーク内で,緩和後に,交流が始まると,感染の再波及も早いように思います.これに対して,州知事はExecutive Orderを出し,physical and mental health careのAfrican American層への充実(障壁をなくす)を図ろうとしています.この対策の進み方も,緩和のタイミングに影響するかもしれません.(余談ですが,こちらのサイトには人種別の感染状況が掲載されていたり,病院ごとのマスク等の備蓄状況が掲載されていたりと,非常に充実しています)

 今後の展開を考える上で,まず,現状の閉鎖状態を整理してみます.

 まず,3月23日に発令された4/13までの"statewide stay-at-home order for all non-essential workers(Executive Order 2020-21 (COVID-19))"はこちらで,続いて4/9に4/30まで延長した自宅滞在令(Executive Order 2020-42 (COVID-19))はこちらです.

  • 自宅に滞在し,世帯を超える集会は禁止
    • 例外は,外でのアクティティ(散歩,ハイキング,ランニング,サイクリング等,4/9でカヌー,カヤックを追加)
    • 医者にかかる
    • 食べ物・ガソリン・医薬品などの生活必要物資の購入(ただし,最大限宅配を利用し,同行する世帯人数も最小にする)
    • 弱者のcare活動
  • 労働可能なのは,
    • 医療関係者,必要な行政機能の執行者,動物の世話,セキュリティ管理,リモートワークのためのメンテナンス,農業,エネルギー,上下水道,マスメディア,必須製造業,financial service
    • 公共サービス提供者(公共交通,ゴミ収集,海外選挙,生活インフラのメンテ関連)
    • 食料などの生活必需品の提供者,障害者の援護者,(4/9追加) 葬儀業者(10人以下の葬儀は許可)
    • 労働可能業種や生活必需品のためのchild care,生産者,物流業者,サービス提供者.
    • (4/9追加) コンビニ,ペット用品,自動車用品店,家電,自宅修理用品店,ランドリー,ホテル,自動車ディーラー(メンテのみ)
    • (4/9追加) 医療関係者以外には,短期休暇用の物件の貸し出しは禁止.開いているshopは6 feetを守らせる,店内の密度ルールも明示,大型スーパーでは家具や植物ゾーンをクローズする.食べ物・医薬品等の生活必需品以外の宣伝は禁止.週に2時間はコロナリスクが高い人向けの営業時間を設定すること.
  • 外出先でも,できる限り,6 feetは他者から離れる.

 4/9追加分に苦心の跡が見られます.続いて4/24に5/15まで延長した令はこちらです.主な変更点は,

  • 建物内の店舗では客・従業員ともにマスク着用すること(ただし,非医療用)
  • 営業再開を新たに許可したのは,造園関係(夏になるのも関係?),非生活必需品の店舗もtake out & deliveryのみOK,bikeのメンテ(オンラインのみ)
  • ゴルフもカートを使わなければ,やってOK.
  • 州立公園も日常的な利用のためには開いていることを明確化

です.マスク着用の有効性は明らかになり,Homemade Maskをつけることとなりました.take out & deliveryでなるべく営業を再開したいという意図もありそうです.また,日々の感染者がなかなか減っていかない現状の中で,スーパーなどでの感染を断つためにマスク着用や営業内容の発令による徹底が図られています.徹底のためのチェックリスト(Child care向け,ビジネス向け,food service向け)はから出たり,この地域の大手スーパー(Kroger)から自分たちが取り組んでいることを発信したりしています.Krogerのやっていること自体は大したことではないかもしれませんが,大手のマンパワーを生かして,スーパー店員向け,客向け,供給業者向け,工場向け,物流業者向けとまとめて情報提供されることで,参照できる中小企業は多く,社会貢献の一つの形と言えるでしょう.

 こうした中,経済再開ができるのかは,この記事では,感染症の専門家の話として,"Widespread testing for both the disease and its antibodies, tracking and isolating new coronavirus cases, and, in time, treatment advances to make future COVID-19 infections less dangerous."としています.日本でも追跡ができなくなると危険ということで緊急事態宣言に移行したと僕は思っていますが,緊急事態宣言を撤収するなら,追跡できる程度まで減ったときというのは合理的なように思います(または,virusの特性がもっとわかった或いは治癒できるとき). 

<長くなったので続く>