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Q-Line @ Detroit

 デトロイトLRTであるQ-Lineの見学に行ってきました.建設・運営はM-1 RAILというNPOが行っており,自治体からの直接的な援助などは特にないそうです.2012年に建設工事をはじめ,2017年から運行しています(運行距離 3.3mile). そもそも,SuperBowl 2006をデトロイトで行った際に,道路混雑がひどく,公共交通を作れないかと検討を開始したものの,デトロイトは自動車の町なので自治体などからの支援は得られず,自力での運営を行っているそうです.政治的困難さの中で,貧困層の移動手段としてバスしかない状況からの脱却にも繋がっています.(なお,出資は不動産を扱う地元の銀行Q社だそうです.いわゆる民鉄でしょうか.)

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 曲がりくねった道をまっすぐにしながら,線路をつけていったそうで,車も使いやすくなったそうです.また,LRTが走っていることで,通りの周辺に,レストランなどが出店するようになり,通りを復活させると価値もあったようです.NBAやNHLの試合を行うアリーナが合わせて出来たことも大きいそうです.こうした都市空間のリビルトも含めた公共交通開発である点は興味深いです.

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 LRT区間中の80%はwireなし(バッテリー活用)で走っており,道の上空もすっきりしています.信号優先権はあるようですが,reliabilityの観点からか通勤の足とはなっておらず,お酒を飲むお出かけの際などの遊興目的の移動の際に使われているそうです.6つの車両を10min間隔で運行させ,徐々に運用状況は改善していて,3000人/日の乗車人員だそうです.現在は,Detroit Department of Transportationが運用するバスとの共通料金体制が始まっています.まだ運行している距離も長くないですが,持続的に続いていってほしいです.

 そもそも,このQ-Lineが走っているWoodward Avenueは,全米で最初にConcreteのPavementが出来た場所であり,非常に栄えた通りであり,交通的にも重要な通りだったはずです.そうした通りが再び交通の力を借りながら,復活していけるようであれば,面白い事だと思います(空間的・地理的必然性のある場所がいつの時代も栄えやすいのでは,という点で).

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(19C中頃から,デトロイトでもケーブルカーは非常に活躍していた 参考